こんにちは、Aki です。
グローバル社会になり、お子さんにバイリンガル育児をされている方がふえてきていると思います。
私もその一人でした。
今回は特にバイリンガル育児をされている方に知っていただきたい、生活言語と学習言語についてわかりやすくまとめてみたいと思います。
たとえば、海外在住でバイリンガル育児させている家庭の場合。。。
うちの子は、英語で日常会話が上手くできているのだけど
なぜか現地校の成績はあまり良くない。。。
とか、
うちの子は英語でのコミュニケーションは問題ないのに、
現地校の勉強が遅れているのが気になる。。。
どうして上のようなことが起こるのでしょうか?
(移民や移住などで母語以外に現地の言語を学ぶ場合)、生活言語と学習言語には習得する時間にちがいがあることを知ることが大切です。
- お子さんの海外現地校での勉強が遅れていると感じるかた
- お子様連れで海外移住または海外転勤の予定のあるかた など
には、生活言語と学習言語のちがいを知っていただき、
良い解決方法と、バイリンガル育児で気を付けたいことも、あわせてまとめてみたいとおもいます。
- オーストラリアの公立幼稚園から高校で教師のアシスタント経験をもつ
- オーストラリアで現役公立幼稚園、小学校の教師のアシスタント
- 英語、日本語、中国語のトリリンガル育児で娘を育てる
特技:リサーチ力、計画を立てること、子どもに好かれる
いろいろな国の文化や、ことばのバッググラウンドをもつ生徒たちや、教師たちとのなかで、日々”ことば”がもつパワーを感じて生活しています。
生活言語と学習言語
専門用語的なことばかもしれませんが、この2つのちがいを知ることがとても大切です。
生活言語
英語の略では BICS ( Basic Interpersonal Communicative Skills ) と呼ばれているそうです。
生活言語は、日常生活のなかで使う、おもに1対1、または小さなグループ間での話しことばでよく使われることば。
< 例:朝起きて>
母:”おはよう。よく眠れた?”
子:”おはよう。うん、よく眠れたよ。”
母:”おなかすいてる?ご飯の準備できてるわよ。”
子:”うん、おなかすいてる。いま着替えたら食べるね。”
この生活言語の習得には*約2年かかるといわれています。
*移民や移住などで母語以外に現地の言語を学ぶ場合
学習言語
英語の略では CALP ( Cognitive Academic Language Proficiency ) と呼ばれているそうです。
学習言語は、学校の教科学習にひつような言語。
< 例:理科の授業中>
先生:”What is Transparent?” / 透明とはなんだい?
生徒:”Transparent means that light travels through an object.” / 透明とは光が物体を通過することです。
先生:”That’s right. That’s a great answer.”/ そうだね。素晴らしい答えだね。
上のように Transparent / 透明 ということばの意味が分からないと、答えをだすことはむずかしいです。
この学習言語の習得には*約5~7年かかるといわれています。
*移民や移住などで母語以外に現地の言語を学ぶ場合
人の言語能力
人の言語能力には
①日常生活で使用する生活言語と、
②教科学習にひつような学習言語
の2つに分けられます。
この違いが一般的に知られていないことがあり、本人や保護者でさえ気がつかないことが多いそうです。
たとえば、
日本で生まれ育ってきたお子さんが、親の仕事の都合でアメリカへ海外転勤になったとします。
お子さんの年齢が低ければ低いほど、お子さんは現地のお子さんと一緒に遊びながら、あっという間に英語でコミュニケーションがとれるようになるでしょう。
両親もお子さんが英語環境でのびのびと過ごしているのをみて安心されるでしょう。
ですが、お子さんの学年が進むごとに、学校の成績は思うように伸びなくなったことに気づきます。
両親と学校の先生はこのお子さん/生徒は単に勉強が苦手だと思うかもしれません。
ですが、
①日常生活で使用する生活言語
②教科学習にひつような学習言語
は別物です。
固有名詞が多い社会科やむずかしい表現語句が出てくる国語/英語、理科、算数の用語が分からないことでその教科を嫌いになる生徒も出てくるでしょう。
また、学習言語には読み書きにひつような能力も含まれます。
そのことから、
コミュニケーションが得意でも授業や教材が理解できないことは珍しいことではないのです。
学習言語をのばすためには
日本語でお子さんに接しているご家庭、または国際結婚でご夫婦のどちらもお住いの現地語のバックグラウンドを持っていない場合、むずかしい言い回しの現地語にふれることのないお子さんは、現地語のフォローをご家庭でうけることはむずかしいでしょう。
解決方法:
①学校
②地域ボランティア
③家庭教師、塾 など
のサポートが必要になってきます。
①学校
お子さんの担任に、ご家庭の言語環境を説明し、お子さんの学習言語(学習でひつような用語など)が理解不足していることを相談することがおすすめです。
- 担任はお子さんのレベルにあった教材を用意してくれたり、
- 学校によってはお子さんに特別カリキュラムを組んでくれることもあります。
ひとつ、気を付けたい点は、教師によっては
家庭で英語/現地語の使用をすすめる場合があることです。
親のあなたが自信をもって話せ、もっとも感情をこめられる言語が母語であり、お子さんがあなたの母語にふれ育ってきた場合、その母語をやめる必要はありません。
最近の研究から母語が育たないと、第2言語も育たず、ダブルリミテッド(どちらの言語も不十分) になってしまうといわれています。
母語をやめてしまうことは、お子さんの言語発達にも良い影響がありません。母語をやめる必要はないのです。
②地域ボランティア
私たちが住むオーストラリアであれば、地域の図書館や教会などで、英語が第二言語の子どもたちに、補習的なクラスを開催しているところがあります。
<探し方>
- お住いの地域の公的機関ホームページから、図書館やコミュニティーセンター等でのクラスなどを探してみたり
- *無料配布のコミュニティーペーパーからクラスをさがしてみたり
- 口コミから得る情報も大切。特にあなたのお子さんと歳のちかいお子さんをお持ちの保護者のかたに相談するのがおすすめです。
*無料配布ペーパーは、図書館やショッピングセンターの入り口に置かれていることが多いです。
③家庭教師、塾など
家庭教師、塾などを利用して、学校の勉強では追いつけない部分を復習したり、*さかのぼり学習するのもおすすめです。
*さかのぼり学習=戻り学習:わからない、つまづいた元まで戻って学習
学校では授業に遅れている生徒の進行具合に合わせることはできません。その他大勢の生徒がいるためです。
家庭教師などのマンツーマンでしたら、分からない部分を分かるまで教えてもらうことができます。
まとめ
今回は、特にバイリンガル育児をされている方に知っていただきたい、生活言語と学習言語について、良い解決方法と、バイリンガル育児で気を付けたいことも、あわせてまとめてみました。
人の言語能力には、
①日常生活で使用する生活言語
②教科学習にひつような学習言語
の2つがあり、それぞれ別物です。
お子さんが第2言語で問題なく現地のお友だちとコミュニケーションがとれるようになっても、
- 現地の学校での成績が思わしくない
- 学校の授業に遅れをとる など
の場合、学習言語が足りていないかもしれません。
解決方法:
①学校
②地域ボランティア
③家庭教師、塾 など
のサポートを(お子さんが)うけられる環境づくりです。
バイリンガル育児で気を付けたいことは、
母語を大切にすることです。
母語が育たないと、第二言語も育たないという研究結果があるように、ダブルリミテッド(どちらの言語も不十分)になることだけは、バイリンガル教育で1番避けなければなりません。
バイリンガル育児のみにいえることではありませんが、親の目からお子さんをみたときに、
- 何か足りていない?
- お子さんが壁にぶつかっている? など
感じたときには、そのときどきでその問題をおぎなう何かを見つけていくのが大切です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考資料:
NPO法人 にわとりの会 / 多言語環境で育つ子どもたちの現状 日常会話はできるけれど、学習言語は難しい
大分合同新聞 / 外国ルーツの子、話せても読み書き難しく「学習言語能力」習得に5~7年