こんにちは Aki です。
いままでにも何度かオーストラリアは州によって法律がちがうといったことを記事にしてきましたが、
今回は住む州によって、学校で学ぶ外国語カリキュラムがこんなにもちがう!ということについてまとめてみたいとおもいます。
私にはオーストラリアで生まれた娘がいますが、とくに娘が小さいころには、英語圏でどうやって娘に日本語を学ばせたらよいのか。。。ということが、とても気になりました。
そのころは、住んでいる州のこと、、、というより、住んでいる地域の学校のことだけしか調べる対象になかったのですが、実は州によってこんなにちがったんだ!、、、という発見があったので、今回はそれをシェアしてみたいとおもいます。
これからオーストラリアに家族で移住を考えられている方や、オーストラリアでお子さんをバイリンガルにしたいと考えられている方、また、とくにオーストラリアでお子さんに日本語も習得させたいと考えられている方の参考にしていただけたらとおもいます。
記事内に日本語バイリンガル・プログラムをおこなっている学校のリンクもはっておきます。
- オーストラリアの公立幼稚園から高校で教師のアシスタント経験をもつ
- オーストラリアで現役公立幼稚園、小学校の教師のアシスタント
- 英語、日本語、中国語のトリリンガル育児で娘を育てる
特技:リサーチ力、計画を立てること、子どもに好かれる
いろいろな国の文化や、ことばのバッググラウンドをもつ生徒たちや、教師たちとのなかで、日々”ことば”がもつパワーを感じて生活しています。
州でくらべる外国語カリキュラムに費やす時間
実際にしらべてみて、実はこんなにちがったんだ!とおどろきました。
VIC (ビクトリア州)
*就学前から**10年生まで週に150分推奨。
*就学前とは、義務教育の始まる1年前。オーストラリアでは州によって就学前の時期も呼び名も異なるため、”就学前”として表記します。
**オーストラリアでは日本のように中学1年、高校1年と区切らず、小学1年生からそのまま数字が上がっていきます。10年生は日本の高校1年生。
12年生の終わりまでに少なくとも1203時間を外国語カリキュラムに費やす計算です。
実際に外国語カリキュラムに費やす時間は学校によって異なるようですが、データでは7から12年生までの生徒の79から98%が週に180分以上学習を受けているそうです。
これはとても高いパーセンテージです!
VICでもう一つ注目したいのは、2019年から2027年まで幼稚園で英語以外の言語で学べる支援に政府が投資していることです。
私は個人的にも、なるべく早いうちから子どもに習得させたい言語にふれさせることが大切だと、娘をトリリンガル育児してきたなかでも感じてきたことなので、VICの幼児言語プログラムは素晴らしいとおもいます。
VICはオーストラリアの中で1番外国語カリキュラムに力をいれている州になるようです。
WA (西オーストラリア州)
3年生から8年生まで週に120分、合計444時間が義務付けされています。
2023年までに9年生まで延長方針になり、合計約518時間になるようです。
WAはオーストラリアの中で2番目に外国語カリキュラムに力をいれている州になるようです。
SA(南オーストラリア州)
就学前から7年生までは週に80分。
8年生は週に128分が義務付け。
8年生以降は義務無し。
義務付け合計474時間。
SAはオーストラリアの中で3番目に外国語カリキュラムに力をいれている州になるようです。
NSW (ニューサウスウェールズ州)
Record of school achievement というアワードをもらうためには、7から10年生までに1つの言語を連続する12か月間以内に少なくとも100時間学習する必要があるようです。
できれば7から8年生に。、、、とNSWの教育省では推奨されています。
義務付けではないようなので、アワードをもらいたい生徒だけが最低限
100時間の学習をするということなのでしょうか。。。
QLD (クウィーンズランド州)
5から8年生に提供。
可能なかぎり就学前から12年生まで外国語カリキュラムを推奨。
QLDでは2019~2020年にかけて外国語カリキュラムを推奨する動きがあったようですが、義務付け時間もないようですし、”あくまで推奨”というだけのようです。
外国語カリキュラムの教え方もちがう!
教師の質がちがう?!
オーストラリアの中で1番外国語カリキュラムに力をいれている州であるVIC(ビクトリア州)では、
外国語教師は自分が教える言語を専攻しているか、言語能力が基準に達しているかの申請を必要とする。
また、バイリンガル・プログラムをおこなっている公立学校が11校(2020年調査)あり、この学校の教師においては、ネイティブかネイティブに近いレベルの資格をもったもの、、、と記されていました。
バイリンガル・プログラムのある公立学校では英語と外国語で科目を生徒に教える環境を提供し、最低限30~50%を外国語で教えるようです。
VICには2校の日本語バイリンガル・プログラムの公立小学校があります。
VICと対照的なのは、TAS(タスマニア州)。
教師の採用に特定の言語要件がありません。
言語の専門家ではない教師がおしえるということになります。
~その他の州の日本語バイリンガル・プログラム~
QLD
NSW
学べる言語の数もちがう
2023年現在、VICの小中学校では20以上の言語が教えられているそうです。
この20言語以上というのはすごいですね!
2020年の調査によると、VICの公立小学校で外国語としてもっとも多く教えられている言語は、中国語と日本語で、中学、高校では日本語が1番教えられている言語でした。
QLDでは10言語、WAでは7言語、TASでは5言語のみです。
とはいえ、日本の外国語学習では英語のみというのが主流ですから、入学する学校によって、ちがう外国語が学べるのもいいですね。
まとめ
今回は【オーストラリアの学校・外国語カリキュラムは住む州によって大きくかわる?!】をテーマに住む州によって、学校で学ぶ外国語カリキュラムがこんなにもちがう!ということについてまとめてみました。
州によって、外国語カリキュラムに費やす時間がちがうことがわかりました。
下に数字で書き出してみると。。。
- VIC(ビクトリア州)
就学前から10年生まで週に150分推奨。
12年生の終わりまでに少なくとも1203時間を外国語カリキュラムに費やす計算
- WA(西オーストラリア州)
3年生から8年生まで週に120分。
合計444時間が義務付け。(2023年までに9年生まで延長方針になり、合計約518時間になるようです。)
- SA(南オーストラリア州)
就学前から7年生までは週に80分。8年生は週に128分が義務付け。8年生以降は義務無し。
義務付け合計474時間。
- NSW(ニューサウスウェールズ州)
Record of school achievement というアワードをもらうためには、7から10年生までに1つの言語を連続する12か月間以内に少なくとも100時間学習する必要がある。
- QLD(クウィーンズランド州)
5から8年生に提供。
可能なかぎり就学前から12年生まで外国語カリキュラムを推奨。(明確な義務付け時間なし)
そして、外国語カリキュラムの時間数のみならず、教え方にもおおきなちがいがありました。
教師の採用に特定の言語要件があるかないかは大きなちがいだとおもいます。
言語の専門家ではない教師と、専門家がおしえるクラスだと、そのちがいは歴然だとおもいます。
VICにはバイリンガル・プログラムの公立校が11校。そのうちの2校が日本語のバイリンガル・プログラム校というのも気になりました。
バイリンガル・プログラムの学校では一定の科目を2言語で学習できるので、たとえばオーストラリアでお子さんに日本語も習得させたいと考えられている方には、ひとつの選択としてよいとおもいます。
海外で子育てをすると、どうしても子どもの現地語は強くなってしまいます。
海外では、全く日本語が話せないという、日本人を親にもつお子さんも少なくありません。
少しでもお子さんに習得させたい言語にふれる時間をつくることが、言語習得へのカギになるので、学校の外国語カリキュラムをうまく利用するのも私は大切だとおもいます。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献:
University of Tasmania – How much kids learn studying languages depends on where you live
Languages Provision in Victorian Government Schools, 2020
EDUCATION.VIC.GOV.AU – Languages education
VIC.GOV.AU – Early childhood language program
WA Department of Education – Languages
NSW Education Standards Authority – Course descriptions for Languages K–10
Queensland Government – Languages and specialist programs