こんにちは、Aki です。
5年ほどまえ、オーストラリアのネットニュースで、
オーストラリアでは1クラスの生徒数がおおすぎる、、、という記事がありました。
わたしはオーストラリアの公立幼稚園・小学校で勤務しているのですが、
教室に圧迫感を感じたことはないですし、生徒がおおすぎると感じたこともないです。
そこで今回は、日本とオーストラリアの小学校・教室内をくらべてみます。オーストラリアの教室にはソファーがある?!など日本とは大きくちがう教室も紹介。あわせて、世界の1クラスあたりの生徒数もしらべてみました。そこから見えてきたのは、日本の質の高い教育環境でした。
日本VSオーストラリアの小学校教室内
まずは日本からみていきましょう。
日本の小学校教室内
日本の教室内はみなさんもよくご存じのとおりです。
教壇に向かって生徒の机がならぶのが一般的でしょう。
日本の教室にあって、オーストラリアの教室にないもの
- 教壇
- 黒板
私は2017年からオーストラリアの幼稚園から高校で働いてきましたが、黒板のある学校をみたことがありません。
- 掃除用具入れ
掃除当番はオーストラリアの学校にはありません。
1クラスの定員上限
令和6年現在、小学生の全学年で1クラス、35人が上限。
”35人学級”は、2021年の法律改正で定められ、*令和3年度から段階的におこなわれているそうです。
以前は、小学1年生のクラスでは定員上限が35人、2~6年生の定員上限が40人でした。
*令和7年度完了予定
オーストラリアの小学校教室内
学年により、教室の雰囲気も変わってきます。
上:スマートボードの前で算数のアクティビティー
下:机で問題をとく生徒たち
オーストラリアの小学校ではスマートボードとホワイトボード、どちらも使うのが主流です。
どの教室にもスマートボードが設置されていました。
スマートボードの前のマットに生徒たちが座り、そこで授業をうけてから机で問題をとくのが一般的。
日本のように教壇にむかって生徒の机がならぶ形ではなく、机どうしをあわせたり、コの字型に並べたり。
高学年になるにつれて、日本のような並び方に近くなります。
オーストラリアの教室にあって、日本の教室にないもの
- ソファー、ベンチソファーまたはビーンバッグ など
オーストラリアの教室にはいがいによくあります。
- 本棚
朝、登校してきた生徒や、授業中の作業が早くおわった生徒、自由時間に本をよむ生徒がいます。
- ボードゲーム、カードゲーム
大体どこのクラスにも定番ゲームがあります。
1クラスの定員上限
2024年現在、学年によって人数制限がちがいます。
小学1年生 – 28以下
小学2年生 – 29以下
小学3~6年生 – 30以下
1994年 小学校の教員配置方式改定より
オーストラリアの各州では、それぞれの人数制限を定めていますが、国の制限よりも低めか同じ。
*WAのみ小学4年~中学3年生までの人数制限を32人としています。
世界の1クラスあたりの生徒数をみておもうこと
世界の平均はどうなっているでしょうか?
世界の小学校の1クラスあたりの生徒数
経済協力開発機構(OECD)の2019年のデータ
Figure D2.1. Average class size in primary education, by type of institution (2019) by OECD
経済協力開発機構(OECD)のデータによると、世界の小学校の1クラスあたりの平均生徒数は21人。
オーストラリアの見解
オーストラリアの小学校の平均生徒数は24人でした。
オーストラリアのメディア、その他の団体のおおくは、”24人は世界と比べて14%も多いことになる!”
、、、と不満をつのらせています。
また、教育と育児の専門家たちの見解によると、生徒数がおおいと、
- 生徒が教師からのフィードバックや注意をうけられない
- 一部の生徒がおくれをとっている
- 才能のある生徒や特別な支援が必要な生徒が個別に必要な配慮を受けられなくなる
- 教師が効率的に仕事できない など
生徒数を減らすことをよびかけています。
日本がいかにスゴいのかを知る
オーストラリアは1クラスの平均生徒数24人、世界の平均の14%おおいことで大騒ぎをしていますが、
(経済協力開発機構の2019年のデータで日本の平均生徒数は約27人)
日本は令和3年度から”35人学級”が法律改正で定められたばかり。
35人は世界平均と比べると約66%もおおいことになります。
それでも日本では”35人学級”のメリットをあげています。
- 学力向上への期待
- ICT教育の指導にプラス要因
- 生徒にもっとよりそうことができる
- いじめや不登校への対応強化
1クラスの人数が多い日本ですが、世界の規律調査結果でも
日本の順位はとても高いです。
調査対象76か国中、オーストラリアは69位、日本は5位。
>>>世界の規律調査結果をわかりやすくまとめた記事です
規律がたもたれた教室では読解力、その他の教科の成績とよい関係にあるといわれています。
オーストラリアでもいわれている通り、1クラスの生徒人数が35人よりも21人のほうが、
生徒と教師の相互関係からも有利だといえます。
でも、じっさいのところ、
1クラスの生徒人数が高い日本のほうが、教室環境がよく、生徒が前向きに授業にとりくめるというのは、
日本人がもつ、協調性、勤勉性によるものだと感心してしまいます。
まとめ
今回は【日本VSオーストラリア小学校:1クラスの生徒数のちがい】教室にソファ?!をテーマに、
日本とオーストラリアの小学校・教室内をくらべてみました。
- 日本はおなじみの教壇が黒板の前にあって、机が教壇にむかってならんでいることがおおい。
- オーストラリアは、スマートボードやホワイトボード前のマットにすわり、レッスンをうけたのち、机どうしをあわせた机、円形の机、コの字型に並べた机などでプリント問題をとくかたちがおおい。
授業風景もだいぶちがいますね。
日本とオーストラリアの教室にあるもの、ないものにもちがいがありました。
- 日本では多くの小学校で黒板が主流ですが、オーストラリアでは黒板がしようされていません。
- 掃除当番のないオーストラリアには掃除用具入れはありません。
- 多くのオーストラリアの小学校教室内には、ソファー、ベンチソファーまたはビーンバッグなどがある。
世界の1クラスあたりの生徒数にもちがいがありました。
経済協力開発機構の2019年のデータによると、
世界の小学校の1クラスあたりの平均生徒数は21人。
オーストラリアは24人、
日本は約27人
世界的にも、教育専門家からいわれているとおり、
1クラスの生徒人数が低いほうが、生徒と教師の相互関係からも有利だといえます。
日本は世界的にみても、1クラスの定員上限が35人と高いですが、
世界の規律調査結果では、調査対象76か国中、オーストラリアは69位、日本は5位。
1クラスの生徒人数が低い国よりも規律がよく、
生徒は授業に前向きです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
>>>参考文献
9NEWS – Aussie classrooms 14 percent bigger than international average
文部科学省 – 小学校における35人学級の実現/約40年ぶりの学級編制の標準の一律引下げ
教員人材センター – 小学校はすべて35人学級へ!推進される理由や課題について解説
NSW GOVERNMENT Education – Class size
SSTUWA – SSTUWA calls for smaller class sizes
OECD i Library – Indicator D2. What is the student-teacher ratio and how big are classes?