こんにちは、Aki です。
オーストラリアの多くの学校ではタブレット端末や、ノートパソコンを校内で使えるようにするBYOD制度が2013年から導入されました。その5年後からはオーストラリアの公立、私立校で全国的に広がっていきました。
BYODとは Bring Your Own Device の頭字語 (とうじご) で、”自分のデバイスを持ちこむ”という意味になります。
日本でもパソコンが授業に取り込まれてきているようですが、オーストラリアのテクノロジーの授業はもうすこし先を進んでいると感じています。
実は私の娘が小学4年生の頃に、当時娘が通っていた公立小学校でもBYOD制度がはじまることになり、その当初は親として、少し複雑な思いがありました。
こんなに小さなうちから、パソコンで授業をうけるとなると、書く力がつかないのではないか心配になりました。
今回は、オーストラリアのBYOD制度のことを、娘の例もふくめ、現在でも賛否のあるBYOD制度の声とはなにか?また、現在娘が中学生に進学してから、親として感じたBYOD制度のことも合わせてまとめてみたいとおもいます。
- オーストラリアの公立幼稚園から高校で教師のアシスタント経験をもつ
- オーストラリアで現役公立幼稚園、小学校の教師のアシスタント
- 英語、日本語、中国語のトリリンガル育児で娘を育てる
特技:リサーチ力、計画を立てること、子どもに好かれる
いろいろな国の文化や、ことばのバッググラウンドをもつ生徒たちや、教師たちとのなかで、日々”ことば”がもつパワーを感じて生活しています。
BYOD制度
ひとくちにBYOD制度といっても、その形態はいろいろです。
まずはじめに、BYOD制度は強制ではありません。
BYOD制度を取り組んでいる学校の生徒の保護者に決定権があります。
BYOD制度のいろいろなケース
- タブレット端末
- パソコン
- タブレット端末からパソコンへの移行
タブレット端末
タブレット端末はApple社製のiPad以外に選択の余地がないかんじです。
タブレットの使用は小学校まで、中学校ではパソコンのBYOD制度が一般的です。
パソコン
パソコンは小学校の場合、機種を指定されることが多いです。
小学生だと、まだパソコンの使用になれていない生徒が多いので、授業内でパソコンの使用方法などをおしえる場合にも、同じ機種のパソコンの方が、教える側の教師にしても、教えられる側の生徒にしても、都合がよいためだとかんがえられます。
中学校にあがると、パソコン機種の指定はなくなるところがほとんどのようです。
タブレット端末からパソコンへの移行
小学校にもよりますが、学年によってタブレットからパソコン使用へと移行していく場合があります。
この場合、保護者の出費はよりかさむことになります。
娘の公立小学校でのBYOD制度の例
この記事のはじめにもふれたように、娘が小学4年生のときにBYOD制度がはじまりました。
学校の指定は、AppleのMacBookでした。
我が家ではWindowsしか使っていないので、なぜApple?と、とまどいました。
Windowsの方が、価格が低めな機種がおおいですし、小学4年生からMacBookは高額すぎるとかんじました。
ちなみに、*幼稚園年長から小学3年生までは、AppleのiPadが指定されていました。
*オーストラリアの幼稚園は小学校の敷地内に併設されているところがほとんどです。
我が家は一人娘ですから、購入するのも1台ですみましたが、兄弟の多い家庭ではものすごい出費になるとおもいます。
学校からの連絡で、在校生や、卒業生の家庭で”不要になった中古の学校指定パソコンを売ります”といったものがあり、その中から3か月しか使っていないというパソコンを、カバー付き、バッグ付きで購入させてもらいました。
パソコンを準備したあと、学校のオフィスにパソコンをしばらくあずけて、学校で使うソフトやWi-Fiの設定などをしてもらいました。
パソコンの購入が遅れたり、卒業間近にパソコンが故障した生徒などは、学校にある予備のパソコンを友だちとシェアして授業で使っていたようです。
BYOD制度をもたない小学校の例
友人のお子さんの学校では、BYOD制度をもたない小学校も半々くらいであります。
その場合、学校のパソコンやタブレットを授業で必要なときにつかうかたちになるようです。
また、BYOD制度をもたない小学校でも、宿題は家でパソコンやタブレットを使わせる小学校もあるようです。
BYOD制度の賛否とは?
ものごとには、かならず良い点、悪い点があるものですよね。。。
オーストラリアで言われている、BYOD制度の賛否の声をまとめてみました。
賛成意見
生徒の学習意欲を向上させる
ゲーム感覚の学びにふれることで、学習効果を高める効果が期待できることもあるようです。
費用対効果(コスパ)が良い
これは学校側によるものですが、生徒がデバイスの持ち込みをすることで、学校が多額の費用をかけて、デバイスの購入をする必要がなくなるので、学校側はその節約分をほかの費用にまわすことができます。
技術スキルを身につけられる
デバイスの利用になれることで、デジタル知識を必要とする、現代社会のほぼ全ての労働力へのそなえができる。
反対意見
いじめのプラットフォームになる
ソーシャルメディアを介したいじめに発展することも。
不平等をうむ
デバイスを購入する余裕がない家庭もあるため、デバイスを持っている生徒と持っていない生徒の間に溝が生じる可能性も。
セキュリティー問題
学校のネットワークセキュリティーに不備があった場合に、個人情報の流出など深刻な問題に発展することも。
BYOD制度について親がかんじたこと
小学校4年生からノートパソコンを持参して学校に通いだした娘でしたが、当初は親としては心配でした。
書く力はどうなるんだろう?
BYOD制度についての説明会が学校で開かれたので、参加しました。やはり、私とおなじ心配をしている保護者がたくさんいるようでした。教師への質問もありましたが、授業で紙に書くことも並行するとの説明でした。
さて現在、娘は日本でいうところの中学2年生がもう少しで終わろうとしています。
オーストラリアの中学校にあがると、ほぼ全部の中学校でBYODになります。
学校からの生徒への連絡も、生徒と先生とのやり取りも、授業も宿題もパソコンなしではほぼ成り立たない感じです。
BYOD制度のなかった小学校出身の生徒とBYOD制度のあった小学校出身の生徒は、中学1年生ですでに大きな差があったようです。
BYOD制度のなかった小学校出身の生徒は、授業中にパソコンにタイピングするだけでも追いつかないようでした。
娘はよくほかの生徒に、
どうしてそんなに早くタイピングできるの?
と、きかれたそうです。
タイピングに気がとられすぎて、肝心の授業内容が頭に入ってこないと困りますよね。
娘が小学校からはじまったBYOD制度、そして中学校に進学した今現在をみて思うことは、
あの時期から(娘は小学4年生から)パソコンでの授業が本格的にはじまったことは良かったと思っています。
世の中はデジタルテクノロジーがどんどん進んでいきますし、多くの職種でそれは大きな役割をもっています。
お子さんに中学生以降も、学校の勉強に力を注がせたいとおもわれているご家庭であれば、小学生のうちからパソコンを使った学習にならしておくことは、個人的にいいことだと思います。
パソコンを早い時期から授業に取り入れることで、娘に書く力がつくのかどうか、心配していましたが、来年中学3年生から始まる英語の *Extension class にも選ばれました。
*Extension Classでは一般クラスとおなじ英語授業にくわえ、さらに高いレベルの英語学習が提供されます。
まとめ
今回は【オーストラリアの学校にあるBYOD制度って何?】~テクノロジーをつかった授業の賛否~をテーマに、小学4年生から始まった娘のパソコン持参の授業から、現在、中学生に進学してから、親の私が感じたBYOD制度のことをまとめてみました。
BYOD制度にはいろいろな形態があり、学校によってさまざまです。
- タブレット端末
- パソコン
- タブレット端末からパソコンへの移行
など、指定されるデバイスもちがいます。
小学校ではタブレット端末といえば iPad の指定を多く目にします。
中学校以上では、BYOD制度はほぼどの学校でもパソコン指定で行われています。
BYOD制度をもたない小学校では、学校のパソコンやタブレットを授業で必要なときにつかうかたちですが、
宿題は家でパソコンやタブレットをつかわせる学校もあるようです。
BYOD制度には賛否のこえもあります。
賛成意見:
- 生徒の学習意欲を向上させる
- 費用対効果(コスパ)が良い‐学校側からみた場合
- 技術スキルを身につけられる
反対意見:
- いじめのプラットフォームになる
- 不平等をうむ
- セキュリティー問題
娘の通っていた小学校でBYOD制度が始まったのは、娘が小学校4年生のころでした。
親としては、こんなに早くからパソコン持参の授業をはじめて、書く力が劣るのではないか?
、、、という心配もありました。
娘が中学校に進学してから、BYOD制度をもたない小学校の卒業生との差が大きかったそうです。
パソコンに慣れていない生徒は、授業中のタイピング速度もかなり遅かったそうです。
娘は来年、中学3年生から開始される英語の Extension Class に選ばれることになり、パソコンを導入した授業を早くからうけたことで、書く力が劣るということもなかったようです。
世の中はデジタルテクノロジーが加速していきますし、多くの職種でそれは大きな役割をもっています。
お子さんに中学生以降も、学校の勉強に力を注がせたいとおもわれているご家庭であれば、小学生のうちからパソコンを使った学習にならしておくことは、個人的にいいことだと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献:
The Good Schools Guide/Advantages and disadvantages of BYOD in Australian schools
Linewize Education Blog/The rise of BYOD in Australian schools