こんにちは、Aki です。
去年(2023年)12月に投稿されたオーストラリアのEDUCATION REVIEWの記事タイトル、
『 Aus classrooms ‘among the worst in the world’:オーストラリアの教室は世界で最悪 』
タイトルがきつすぎやしないかとさえ思いました。
でも、これは経済協力開発機構(OECD)がおこなった世界76か国の国語の授業中の規律調査結果で、
オーストラリアが69位になった結果、オーストラリアの教育雇用委員会が、報告書を提出するまでに発展しました。
ちなみに日本は5位でした。
69位というのは、とても不名誉なことです。
前回調査よりも5%悪化していたことが、さらにこの調査結果を重くうけとめなければならないところです。
今回はオーストラリアの学校で何がおきているのか、調査結果をわかりやすくまとめてみたいとおもいます。あわせて、私がじっさいに教育現場で見聞きしてきたことなどもおつたえします。オーストラリアの学校選びがどれだけ大切なことなのか参考にしていただければとおもいます。
- オーストラリアの公立幼稚園から高校で教師のアシスタント経験をもつ
- オーストラリアで現役公立幼稚園、小学校の教師のアシスタント
- 英語、日本語、中国語のトリリンガル育児で娘を育てる
特技:リサーチ力、計画を立てること、子どもに好かれる
いろいろな国の文化や、ことばのバッググラウンドをもつ生徒たちや、教師たちとのなかで、日々”ことば”がもつパワーを感じて生活しています。
調査結果のなかみ
調査結果のグラフをみてみましょう。
1位の韓国から始まり、76位のアルゼンチンまで
PISA 2018 Results WHAT SCHOOL LIFE MEANS FOR STUDENTS’ LIVES by OECD publishing
調査結果からみえたこと~全国編~
- 平均的に生徒の60%以上が男子の学校より、生徒の60%が女子の学校か、男女のバランスのとれた学校のほうが問題が低い
- 平均1/3の生徒が、毎回またはほとんどの授業で先生の言うことをきかない、騒音や規律がみだれていると回答
- 平均的に規律がたもたれた教室では読解力の成績とよい関係がある
デンマークとフィンランドでは男子のほうが規律を守るという結果です。
デンマークとフィンランドでは、男女別の学校と能力別のグループ化が進んでいるのが理由の一つのようです。
調査結果からみえたこと~オーストラリア編~
- 学生のほぼ半数(43%)が英語の授業で騒音や混乱があると回答
- 2009年~2018年の調査で規律環境は悪化:ほとんどの英語授業で教師の言うことをきかない生徒が5%ふえる
- 生徒の1/3、教師は生徒が静かになるまで長時間待つひつようがあると回答
- 生徒の1/3は生徒が教師の言うことをきかないと回答
- 教師へのアンケートでもほぼ同じ回答
生徒のみならず、教師も生徒とほぼおなじ回答から、この調査結果は確かなものといえそうです。
オーストラリアの教室でおきている問題行動と対策
オーストラリアが不名誉な69位になってから、オーストラリアの教育雇用委員会が、報告書を提出しています。
報告書のなかみから、問題行動をまとめてみます。
問題行動
- 生徒が不必要にはなす
- 許可なく大声をだす
- 授業に関係のないことをする
- 指示にしたがうのが遅い
- 生徒同士、教師に対する思いやりにかける
- 用具の忘れ物がおおい
- モバイルデバイスのふてきせつな使用
ここまでだけでもがっかりですが、このあとからが信じがたい内容です。
- 生徒による教師への身体的ハラスメント:教師が殴られたり、家具をなげつけられるなど
- 生徒がグループとして授業のじゃまをするなど
問題行動の背景にあるもの
教育雇用委員会の報告書には問題行動の背景にあるとされていることがしるされていました。
オーストラリアで家族支援をおこなっている、MacKillop Family Services(マキロップ ファミリー サービス)は、
問題行動をおこす子どもの72%は学校の外で不利な経験をした/していることに関係があるとまとめています。
不利な経験の例
- いじめ
- 家庭内暴力
- 性的虐待
- 人種差別
- 育児放棄
- 親の死
- 親のメンタルヘルス / 薬物使用の問題
- 食料や住宅の不安
- 環境災害 など
少なくとも上記の1つの経験にさらされている子どもの72%が問題行動をおこすことと関係があるとされているようです。
オーストラリアがうち出した対策
- 国が学校内での”行動カリキュラム”をつくる
- *オープンプランのクラスルームの廃止
- 心のケアをするサイコロジスト、生活相談員であるソーシャルワーカー、スペシャリストの増員
*オープンプランのクラスルームは2つ以上の教室がつながっていることを意味します。
オーストラリアで学校選びが大切なこと
いままでみてきたことで、オーストラリアでの学校選びが大切なことは感じてもらえたとおもいます。
調査結果から、日本よりも教室の環境がよくないことが多いからです。
>>>オーストラリアの公立中学・高校の選びかたはこちらからどうぞ。
>>>オーストラリアの公立幼稚園・小学校の選びかたはこちらからどうぞ。
つぎに、私がじっさいに教育現場で見聞きしてきたことなども、下にまとめてみます。
ケース1:中学生の教師に対する暴力
私が中高一貫校の教師のアシスタントをしていたときのことです。
7年生(中学1年生)、保健の授業中に手にボールを持っていた生徒から、ボールを没収しようとした女性のベテラン教師が、生徒に押し倒され、机や椅子にからだを打ち付けたおれました。
教師は打撲ですんだそうですが、心身のショックなどもあったようで、数日欠勤。
私はその現場にはいませんでしたが、他のスタッフからそのことをききました。
数日後、戻ってきたベテラン教師をみかけたときには、両足に包帯がまかれていました。
ケース2:中高一貫校でのけんか
友人の高校教師は、オーストラリア郊外のはずれにある学校で働いています。
友人は言います。
今年(2024)は生徒間のけんかが絶えないのよ。
いままでで1番ひどい。
今の子どもたちは、いつも怒りをかかえているようだともいっていました。
ケース3:中高一貫校、面接でのしつもん
私がある中高一貫校の面接に行った時のことです。
質問:授業中に生徒間でけんかがはじまったら、どんな対処をとりますか?
この学校、あまりにも評判の悪い学校で、学校名を改名していたことを、面接前にしった私!
けんか、、、といっても、かわいい言い合いとかではなく、殴る蹴るの本気のけんかです。
SNSで生徒が撮影したけんか映像が上がっていました。
経験不足ということで採用にならなかったのですが、ほっとしました。
ケース4:中高一貫校で他校から転任してきた先生のことば
娘がさいきん言っていたこと、
他校から転任してきた先生が、私たちのクラスはみんな授業をちゃんときいてくれる、、、って。
前の学校では、授業をきかない生徒が多く、授業が進まなかったとか。
ケース5:幼稚園、小学校でも。。。
幼稚園児ならまだ身体も小さいですし、中高一貫校の生徒よりはぜんぜんおさえはきくのですが、
家庭環境が悪く、突発的な怒りにかられる幼稚園児もいます。
叫びだして、物を投げたり壊します。
職員室から応援をよんで、教室から連れ出すこともあります。
幼稚園児でこれですから、小学生だとさらに難しい生徒がいます。
そういった生徒には、学校の休み時間も、スタッフがついて監視したりします。
まとめ
今回は、【オーストラリアのクラス環境は世界で最悪レベル?!】~知ってほしい学校選びの大切さ~をテーマに、
オーストラリアの学校で何がおきているのか、経済協力開発機構(OECD)がおこなった規律調査結果をわかりやすくまとめてみました。
あわせて、私がじっさいに教育現場で見聞きしてきたことなどもまとめました。
世界76か国の国語の授業中の規律調査結果で、オーストラリアが69位、日本は5位。
このことからもわかる通り、
オーストラリアでお子さんの学校を検討する場合、より慎重になるひつようがあります。
学校で問題行動をおこす生徒の72%が、学校の外で不利な経験をした/していることに関係がある
、、、ということも気になりました。
家庭の問題がある場合、学校だけのサポートでは解決は難しいでしょう。
大切なお子さんが通う学校ですから、お子さんにとって、たのしく学ぶことができる学校を選んであげたいですね。
今回の記事で、オーストラリアの学校問題をしっていただいたり、学校選びの大切さに目をむけるきっかけになるとうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献:
EDUCATION REVIEW – Disruption report: Aus classrooms ‘among the worst in the world’
PISA 2018 Results – WHAT SCHOOL LIFE MEANS FOR STUDENTS’ LIVES / VOLUME III
Education and Employment References Committee – The issue of increasing disruption in Australian school classrooms – Interim Report / December 2023