こんにちは、Aki です。
国がちがうと、当然のことながら法律もちがうわけですが。。。
オーストラリア在住20年以上になる今でも、
ずいぶんと日本とちがうなあ。。。
と、思うこともときどきあります。
今回は未成年が法的にできること、できないことを、オーストラリアと日本で比べてみたいとおもいます。
- オーストラリアの公立幼稚園から高校で教師のアシスタント経験をもつ
- オーストラリアで現役公立幼稚園、小学校の教師のアシスタント
- 英語、日本語、中国語のトリリンガル育児で娘を育てる
特技:リサーチ力、計画を立てること、子どもに好かれる
いろいろな国の文化や、ことばのバッググラウンドをもつ生徒たちや、教師たちとのなかで、日々”ことば”がもつパワーを感じて生活しています。
成人の年齢は?何ができる?できない?
そもそも、日本とオーストラリアでは成人の年齢はいくつでしょうか?
日本では令和4年(2022)4月1日から成人の年齢を20歳から18歳に引き下げました。
オーストラリアでは成人の年齢は現在の日本と同様、18歳です。
18歳ができること、できないこと
できること、できないことの一部をみてみましょう。
できること/できないこと | 日本 | オーストラリア |
---|---|---|
車の免許 | ||
飲酒 | ||
喫煙 | ||
ギャンブル | ||
選挙権 | ||
婚姻 |
日本では18歳が成人となってからも、飲酒、喫煙、ギャンブルにおいては従来通りのようです。
成年年齢が18歳になっても、飲酒や喫煙、競馬などの公営競技に関する年齢制限は、これまでと変わらず20歳です。健康面への影響や非行防止、青少年保護等の観点から、20歳という年齢が維持されました。
政府広報オンライン
お酒もたばこもギャンブルもしない私にとっては、日本の方が健康的で安全な対策だとおもいます。
未成年、何ができる?できない?
未成年でできること、できないことをさぐってみましょう。
未成年ができること、できないこと
できること/できないこと | 日本 | オーストラリア |
---|---|---|
車の免許 | ||
飲酒 | ||
喫煙 | ||
ギャンブル | ||
選挙権 | ||
婚姻 | ||
義務教育の修了 | ||
就労 | ||
刑事責任 |
車の免許
車の免許を取るシステムが日本とオーストラリアでは大きくちがいます。
オーストラリアでは、日本のような教習所がなく、初めから公道を運転します。
オーストラリア・免許が取得できるまで大きくわけて3ステップ。
- 16歳である必要があります。オーストラリア首都特別地域では15歳9か月から
- 運転免許を持つ親など、監督できるひとを同乗させるきまりがある
- ノーザン テリトリーは 16 歳 6か月、ビクトリア州は 18歳、他の州や準州では 17歳である必要がある
- 単独で公道を運転することができる
- 仮免許のあと2~3年後に本免許 (州によって期間がちがう)
わかりやすいように、日本式に”仮免前、仮免許、本免許”としましたが、そもそもの免許システムが大きく違います。
最初から公道を走行しますし、その最初の免許は早い州で15歳9か月から!
少し早すぎる感がぬぐえないのは、私だけでしょうか?
婚姻
日本では令和4年(2022) 4月1日から婚姻における最低年齢が変更になりました。
女性が結婚できる最低年齢は16歳から18歳に引き上げられ、結婚できるのは男女ともに18歳以上となりました。
政府広報オンライン
オーストラリアでは、基本的には18歳から婚姻が認められていますが、
16歳~18歳にかぎって、相手が18歳以上の場合、裁判所から認められると結婚できます。
相手が18歳以上であれば、裁判所に認められたばあいのみ、16歳でも結婚できるみたいです。
義務教育の修了
日本では以下のように、小学校から中学生を卒業する15歳まで。
保護者は、子女を満6才から満12才まで小学校に、その修了後満15才まで中学校に就学させる義務を負う。
学校教育法第22条、第39条
義務教育諸学校の種類と修業年限/小学校は6年、中学校は3年
学校教育法第19条、第37条
オーストラリアでは、ほとんどの州において、子供が*10年生を修了した後、学校を卒業することが許可されています。
*10年生は日本の高校1年生
でも、これで完全に修了というわけではないようです。
10 年生の後に学校を卒業したい場合、17 歳になるまで、他の形式の教育、または教育、訓練、または雇用の組み合わせを行う必要があると法律で定められているようです。
西オーストラリア州では、その年齢は 17 歳 6 か月まで、タスマニアでは、18 歳まで。
一部の州では、10 年生が終了する前に学校を卒業したい子供に対して特別な免除が適用される場合もあるようです。
特別な免除をのぞいては、州により17歳~18歳まで何らかのかたちで教育をうける必要性があるようです。
就労
日本では原則、満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者を労働させることはできないようです。(労働基準法)
例外もあるようです。
13歳以上の児童については、労働基準法第56条第2項にて、労働基準監督署長の許可を受けた場合には、就学時間を含め1日7時間以内の範囲で労働させることができるとしています。「映画演劇業」に限っては、子役が必要であるため、13歳未満であっても使用許可申請をすることができます。
厚生労働省 山梨労働局
ただし、製造業、建設業、運送業などの指定業種のほか、旅館、飲食店、娯楽場における業務など、「児童の健康及び福祉に有害であり、かつその労働が軽易でないもの」とされている業務については、労働基準監督署長の許可を受けることができません。過去、許可された代表的な業務は「新聞配達」
オーストラリアでは、州によって雇用規則に適用される例外と制限があります。
通常、ニュー サウス ウェールズ州、南オーストラリア州、タスマニア州、オーストラリア首都特別地域、ノーザン テリトリーでは、カジュアルまたはパートタイムの仕事に最低年齢制限なし。
最低年齢制限なし?!
ビクトリア州、西オーストラリア州、クイーンズランド州では、カジュアルまたはパートタイムの仕事を開始できる最低年齢は 13 歳。
オーストラリアの方が働き始められる年齢制限がひくいですね。
刑罰
すこしおもたいトピックになりますが、国によって刑罰をうける年齢もちがうのでしょうか?
日本では13歳までの少年が犯罪を起こしても刑事罰をうけません。
14歳に満たない者の行為は罰しない
刑法第41条
日本では、14歳未満の少年はまだ成長過程にあり、心身未熟であるとのあつかいになる。
オーストラリアでは、刑事責任年齢は10歳以上。
10歳?!
オーストラリアは 2019年、The United Nations Committee on the Rights of the Child : 国連児童の権利委員会から「刑事責任を問われる年齢が非常に低い」と国際批判をうけています。「国際的に認められたレベルまで引き上げ、14 歳以上の年齢に合わせるよう」求められています。
各州で年齢の引き上げを検討する動きはあるようですが、正式な法改正の実施には至っていないようです。(2023年4月現在)
まとめ
今回は【オーストラリアVS日本‐未成年が法的にできること】をテーマに、わたしが20年以上住んできたオーストラリアで今でもときどきかんじている日本とのちがいについてまとめてみました。
成人の年齢は日本もオーストラリアも同じく18歳ですが、
日本では、飲酒や喫煙、競馬などの公営競技に関する年齢制限は、これまでと変わらず20歳。
日本のほうが青少年の安全面における配慮がされているとかんじます。
未成年ができること、できないことをいろいろと比べてみましたが、
車の運転免許を取得するシステムが、日本とオーストラリアでは大きくちがうとかんじます。
- 監督者を乗せる義務があるとはいえ、公道を運転することができるのは早い州で15歳9か月から
- 早い州では16 歳 6か月から、ひとりで公道を運転できる
娘は今年(2023年)で14歳になるので、ちょっと複雑なきもちです。
義務教育の修了年数が、オーストラリアの方が長い高校1年生終了までというのは意外?!でしょうか。
州によってその後も”17歳~18歳まで何らかのかたちで教育をうける必要性がある。”とのことでした。
就労について、日本では満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者を労働させることはできないに対し、
オーストラリアでは州により、最低年齢制限がない、もしくは13歳からと日本よりも低年齢でのスタートでした。
それにつづいて、低年齢だったのが刑罰を10歳からうける対象になるというオーストラリア!
日本は国際基準に多い、14歳に満たない者の行為は罰しないということでした。
今回、まとめていて改めて感じたことは、
オーストラリアの州による法律のちがいです。
運転免許が取得できる年齢であったり、就労できる最低年齢などにバラつきがありました。
同じ国なのに、違和感をかんじるところではあります。
いっぽう、オーストラリアの約6倍もの人口がある日本で、法律が統一されていることに安心感さえかんじました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考資料:
Parliament of Australia-The minimum age of criminal responsibility in Australia: a quick guide
rasingchildren.com.au-Legal age: teenagers and the law
Youth Legal Service website
政府広報オンライン-18歳から”大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。
外務省‐国内法における最低法廷年齢