こんにちは、Aki です。
私はオーストラリアの公立小学校で教師のアシスタントとして勤務しています。
日ごろ多くの生徒たちとかかわる中で、他のスタッフとのあいだでもよく言われることがあります。
それはこどもたちのレジリエンスが低いということです。
レジリエンスとはそのまま訳すと、”回復力”とか”弾力”などをいみする言葉です。
これを心理学的にいうと、
ストレスのある状況下におかれても、適応能力があり、精神的回復力があるということになります。
メンタルが強いことと直結します。
さて、このレジリエンスが低いことで学習にも影響をおよぼすといわれていますが、それ以上に深刻なことがかかわってきます。
とくにまだ精神が未成熟なこどもたちにおいては、このレジリエンスが将来にも影響をあたえるとされています。
今回はこのレジリエンスについて、精神的健康問題に無料のヘルプラインサービスを提供(オーストラリア政府が支援)している Beyond Blue の掲載から、レジリエンスがもたらす影響とレジリエンスを高める方法をまとめてみます。
結論としてレジリエンスが高い人のほうが、より楽しい人生をおくることができます。
レジリエンスは高めることができます!
どうすればレジリエンスを高めることができるのか、是非知っていただきたいです。
- オーストラリアの公立幼稚園から高校で教師のアシスタント経験をもつ
- オーストラリアで現役公立幼稚園、小学校の教師のアシスタント
- 英語、日本語、中国語のトリリンガル育児で娘を育てる
特技:リサーチ力、計画を立てること、子どもに好かれる
いろいろな国の文化や、ことばのバッググラウンドをもつ生徒たちや、教師たちとのなかで、日々”ことば”がもつパワーを感じて生活しています。
レジリエンスがもたらす影響
レジリエンスが低い場合
たとえば、レジリエンスが低いこどもたちは、
- すこしの失敗で泣きだしてしまうかもしれません
- 失敗したことから立ち直れない
- すぐに”できない”をくちにする など
本当にささいなことで泣きだしたり、とにかく”できない”を連呼するこどもたちが少なくありません。
ささいなことの例:
- 工作の紙がおもうように切れなかった
- 休み時間の校庭でボール遊び中、自分の順番がとばされた
- 体育で疲れた
- クレヨンがおれた など
上の例ではいづれも生徒は泣き出しています。
できないから泣く、できないからやらない。。。
予想外のことがおきるとストレスをうけ対処できない。。。など
レジリエンスが高い場合
レジリエンスが高いこどもたちは、
- 楽観的
- 前向きなことばを独り言する
- 自己肯定感をもつ
- 自分の感情、考えを理解し表現する
- 強い感情から逃げない
- 動揺したときに感情をコントロールする年齢におうじた術をもっている
- 予期せぬ問題がおきたときに計画を変更できる
- 強い主体性と責任感
- うまくいかなくても挑戦をつづけ、いつやめるかを判断する
- 将来に目的意識と希望をもつ
- 必要あれば積極的に助けをもとめる
- 家族、学習コミュニティ、学びにたいして愛着をもつ
上記のことから、レジリエンスは学業成績や行動の向上と関連しています。
長期的には人生におけるチャンスもふえます。
たとえば、
- 雇用
- 人間関係 など
満足のいく成果や関係性が築けることとも関連しているそうです。
レジリエンスを高める方法
レジリエンスが高いことで、人生がプラスに働くことはみえてきました。
さて、どうすることでレジリエンスを高めることができるのでしょう?
こどもたちのレジリエンスが高められるとき:
- 誰かに無条件に愛されるとき
- 問題や気持ちをはなせる年上の人が家の外にいる
- ものごとをやり遂げ、達成しようとする努力をほめられる
- 必要なときにそばに家族がいてくれる
- なりたいと思える人がいる
- ものごとは上手くいくと信じる
- 自分がおもうよりも大きなパワーがあるという意識をもつ
- 新しいことに挑戦しようとおもうきもち
- 自分の行動がものごとの成り行きに影響をあたえるとかんじる
- 自分自身をすきだとかんじる
- ものごとに集中してやりとげる
- ユーモアのセンスをもち、短期、長期的な計画をたてる
レジリエンスを高めることにかかわる人たち
家族
こどもたちの身体的、精神的発達において最も重要な役割をはたしているのが “家族” となります。
家族には:
- 親
- 祖父母
- こどもの世話をする親族 など
家族との良好な関係をきずくことは、こどもの精神的健康と幸福をサポートするために不可欠。
教育者
家族いがいでこどもたちのレジリエンスを高めるサポートができるのは
“教育者” になるでしょう。
精神的に問題をかかえるこどもたちが最初に頼るおとなが、教育者となることが多いそうです。
家族と教育者間のパートナーシップも重要になります。
親しい保護者、友人
人間関係はこどもたちのレジリエンスのもととなります。
家族のように親しい保護者や、こどもたちの友人との関係も大切です。
こどもたちが安心と安全をかんじるのに役立ちます。
地域社会とのつながりはこどもたちが大切にされているという気持ちをあたえます。
レジリエンスを高めるシーン別キーポイント
こどもたちをとりまく人間関係がレジリエンスにおおきく関係してくることはわかりました。
でも、実際にレジリエンスを高めるにはどうしたらいいのでしょう?
こどもたちは経験をとおしてレジリエンスを学びます。
問題を解決するたび、つぎに問題がおきたときに対処する能力に自信がもてるようになります。
下にわかりやすく、いろいろなシーン別にキーポイントを紹介します。
シーン1:こどもが誕生日会に招待されなかった・誕生日にほしいものがもらえなかった
こどもの問題や失望をすべて解決しようとしないでください。
たとえば、後でこどものほしかったものを買いなおしたり など。
問題を解決しようとするのではなく、こどものきもちについて話し合いましょう。
シーン2:家族が病気になり、こどもが心配している
こどもが強い感情をもちはじめました。その感情をコントロールできるように手助けしましょう。
たとえば、こんな声かけができるでしょう。
” おばあちゃんのことを本当に心配しているのがわかるわ。心配することはいけないことではないのよ。だけど、これだけは忘れないでね。私たちはおばあちゃんが元気になるようにできるだけのことをしているのよ。”
シーン3:こどものまちがった回答を見て見ぬふりをする
こどものリアクションを予測して予防するのはやめましょう。
たとえば、こどもがあきらかにまちがった答えをかいて学校に提出しようとしています。
間違っていることをつげると、こどもは怒りだすかもしれないので、見て見ぬふりをするということです。
小さな問題を解決していくことで、より大きな問題を解決できるようになっていきます。
シーン4:初めて挑戦したことがうまくいかなかった
もう1度挑戦するようにこどもを励ましてください。
” 完走できてすごいとおもうよ!”
”もう1度挑戦してよくやったね!”
結果はどうであれ、こどもの挑戦をほめてあげましょう。
シーン5:じぶんへの思いやりの気持ちを育てる
こども自身の、じぶんへの思いやりの気持ちを育てましょう。
こどもが、じぶんへの思いやりの気持ちを育てることで、失望、失敗、間違いに対処するのにやくだちます。
シーン6:ものごとが上手くいってるときには、それをみとめることを習慣にする
問題ばかりを見つけて、こどもに対処させるのではなく、良いことは良いこととしてみとめましょう。
たとえば、家族で食事をしているときに、それぞれがその日のよい出来事をシェアするのもよいでしょう。
シーン7:こどもが学校で友だちに意地悪された
年齢におうじた方法で、こどもが問題解決できるようにサポートしてください。
次回はどのように対応するといいかをこどもと一緒にかんがえてみましょう。
シーン8:両親が離婚、家族を亡くした
こどもとおなじような困難を経験した前向きな人をみつけましょう。
おなじような困難を経験した年上の友だちから、支えをえられるかもしれません。
こどもは時間とともにレジリエンスを高めていきます。
こどもが問題にどう向き合ってのりこえていくのか、私たち大人は忍耐強くサポートしましょう。
親であれば、こどものためにすべてを上手くやってあげたいとおもうかもしれません。
ですが、こどもが自分で問題を解決していくことで、こどものレジリエンスはより高まります。
時に困難な気持ちをこども自身が経験しなければいけないこともあるのです。
こどもたちが自分で問題をのりこえていけるように、大人はうまくサポートにまわることにしましょう。
まとめ
今回は【勉強ができるよりも大切:レジリエンスを高める】~こどもが楽しい人生をおくるために~をテーマに、
レジリエンスがもたらす影響と、どうやってレジリエンスを高めるのかをまとめてみました。
結論としてレジリエンスが高い人のほうが、より楽しい人生をおくることができます。
なぜなら、レジリエンスは学業成績や行動の向上と関連しているからです。
長期的には人生におけるチャンスもふえます。
たとえば、
- 雇用
- 人間関係 など
満足のいく成果や関係性が築けることとも関連しているそうです。
レジリエンスを高めることにかかわる人たち:
- 家族
- 教育者
- 親しい保護者・友人
レジリエンスを高めるシーン別キーポイントをわかりやすくまとめてみました。
普段の生活でおこりえることをまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
レジリエンスを高めるシーン別キーポイントはこちらから。
こどものレジリエンスを高めることで1番大切なことをしたの文で再度確認してみてください。
こどもは時間とともにレジリエンスを高めていきます。
こどもが問題にどう向き合ってのりこえていくのか、私たち大人は忍耐強くサポートしましょう。
親であれば、こどものためにすべてを上手くやってあげたいとおもうかもしれません。
ですが、こどもが自分で問題を解決していくことで、こどものレジリエンスはより高まります。
時に困難な気持ちをこども自身が経験しなければいけないこともあるのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献:
Beyond Blue / Resilience and mental health, Supporting evidence
raisingchildren.net.au / Resilience: how to build it in children 3-8 years